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2013年12月1日日曜日

フィンランドの言語(英語)教育についてゆる〜く考える会2 報告

フィンランドの言語(英語)教育についてゆる〜く考える会2

11月30日に予定通り実施しました。参加した方は、前回よりも多くなりました。

島岡さん、荊さん、飯田さん、山里さん、草薙さん、小嶋さん、今坂さん、大田垣さん、清水さん、吉田1さん、吉田2さん、深谷さん(+1)

ご参加ありがとうございました。

また、上条さん、飯島さん、末森さん 発表ありがとうございました。

今回は、様々な背景の方が参加していただき、もっといろいろとフィンランドでの学びについて意見を交換できればよかったなと反省しています。

ただ、雑談や交流の中で、互いに情報交換ができたようです。私自身も多くの方とまた知り合いになれてうれしく思っています。

上条さんは長くフィンランドにいましたので、私の知らない多くことを話してもらいました。興味深く聞きました。フィンランドは小さな国ですが、魅力ある国ですが、やはり学ぶために居住するとなるとけっこうたいへんのようです。私はいつも短期間しかフィンランドには滞在しないし、いつも忙しくリサーチをしているので、あまり普段の生活を味わったことがありません。いろいろと個人の生活体験や学習体験を聞くのは参考になります。

飯島さんははじめて訪れたヘルシンキのロシア語のバイリンガル校をことを話してくれました。特別支援という視点から学校を見るということも重要だと思いました。日本のシステムとフィンランドのシステムは異なります。フィンランドの教育はやはり手厚いと感じます。これは教育全体に言えることのようですが、反面、厳しさもあり、自律を促すことが徹底しています。飯島さんもフィンランドに興味を持ってくれたことはうれしいことです。

末森さんは、この会を私といっしょにやってくれています。今回は、教員養成や教育実習などについて日本での経験とフィンランドでの経験を話してくれました。これは私もとても興味があります。教師になるということ、教えるということ、また、それを学ぶということは、それほど簡単ではありません。フィンランドは、教育を大切にしています。その要となるのが教師と考え、この養成を重要視しています。それに比べると、日本は軽視している訳ではありませんが、個々の人やこれまでの伝統的な力に依存して、かなり複雑に発達しているような気がします。「登壇実習」という用語を聞いてそう思いました。

さて、次回は、タンペレ大学のRiitta Jaatinen先生を招いて実施しようと計画しています。時期はまだ未定です。あるいは、その前に二つほど企画できたらしたいと思います。

1フィンランドで小学校や中学校や高校で学習体験した人、あるいは、日本語などを教えた体験などをした人に集まってもらい、フィンランドの学習について考える

2フィンランドの方で現在日本で勉強している人に集まってもらい、日本とフィンランドの学びの体験を語る

あるいは、他に何か企画がありましたらご連絡ください。

〜〜〜〜〜感想〜〜〜〜〜

笹島さんの感想

多くの人が集まっていただき、フィンランドに多くの人が関心を持っているのだなとあらためて思いました。私は、11月のはじめにヘルシンキとトウルクを訪ねました。教育実習生の調査とCLIL(科目内容と言語を統合した学習)という教育の調査です。また、トウルク大学の付属学校の校長先生と話して、日本人の先生方のためのCLIL研修会とフィンランドの教育体験をしようという企画を考えています。応援してください。会の後もお話しができたので、なかなか有意義な会でした。参加してくれたみなさんありがとうございます。では、また。

末森さんの感想


今回も様々な観点からフィンランドの教育について考えることができ、とても有意義でした。私自身も教員養成制度の観点からお話することができ、自分の経験を振り返る良い機会となりました。今回、新たに参加される方も多く、いろいろと意見を交換することができ、良かったです。今後さらにフィンランドの教育に興味を持つ人が増えていくと良いなと思います。

上条さんの感想

この度は、本当に貴重な機会にお声がけ頂きありがとうございました。研究からは、ここ2年離れていたので、また近いうちに、研究畑に戻りたいなと思える時間でした。みなさまともFinlandを通して、是非、今後とも情報交換が出来れば幸いです。

飯島さんの感想

昨日はとても素敵な会にお誘い頂きありがとうございました。フィンランドについてもっと知りたくなりました。また、年間を通して住んでみたくもなりました。いろいろなところから情報を集めて、チャンスがあればいつても行けるように準備をしていこうと思いました。

清水さんの感想

昨日は「フィンランドの言語(英語)教育についてゆる〜く考える会2」へ参加させていただき、ありがとうございました。フィンランドという点で、様々な方とつながり、実際にフィンランドにいらっしゃった方のお話を直接お聞きすることかでき、大変貴重な機会であると同時に刺激的な場でした。

吉田さんの感想

初めてお目にかかったばかりの方々でしたが、北欧の国、フィンランドを核に集う方々だったせいか、とても居心地がよく充実した時間を過ごさせていただきました。フィンランドの教育にも問題があり、今後の日本の教育が学ぶべき面がたくさんあるけれど、それを実現するためには日本には壁があると感じました。一番感じたのは、教師は本来の仕事(教育)に振り分ける時間が足りないのでは?ということです。日本人は真面目だから、必要と義務づけられればどんなことをしてもそれを遂行し、決して投げ出さずサービス残業・休日出勤をしてでもこなして行くでしょう。19時過ぎまで仕事をして、21時近くに帰宅という状況下では余裕のない生活となり教育の理想や目標があってもそれに対し、向き合う十分な時間が取れないのではないか感じました。フィンランドの教師の『16時に帰宅』という事実は羨ましい環境だと改めて感じました。







2013年9月30日月曜日

フィンランドの言語(英語)教育についてゆる〜く考える会2


フィンランドの言語(英語)教育についてゆる〜く考える会2

第1回に続き、フィンランドの教育、主に言語(英語)教育について、情報交換し、交流を深め、より深く理解する予定です。学術的ではありませんのでご了承ください。フィンランドにゆかりのある方、フィンランドに興味のある方などなど、どなたでもけっこうです。ご参加をお待ちしています。

第2回は、フィンランドの学びについて、言語だけではなく、考えたいと思います。フィンランドでの学び、フィンランド留学体験、学校見学、フィンランドから日本に来て気づいたこと、学校、家庭学習などなど、について関心のある方はぜひお集りください。


その2

日時:2013年11月30日(土) 2時〜5時
場所:お茶の水女子大学 図書館キャリアカフェ
   (身分証明書などをご用意ください。)
提案 「フィンランドでの学び」 
提案1上條未央(ブリティッシュカウンシル) 「トウルク大学での大学院生活あれこれ」
提案2飯島菜津子(埼玉県立騎西特別支援学校)「はじめてのフィンランドの学校訪問」
提案3末森咲(お茶の水女子大学生)「久しぶりにタンペレ大学を訪ねて」
   他
報告 笹島茂(埼玉医科大学)「フィンランドのCLILについて雑感」

参加する方は、セキュリティの関係で事前にご連絡をお願いします。

笹島茂 sasajima@saitama-med.ac.jp


2013年6月1日土曜日

フィンランドの言語(英語)教育についてゆる〜く考える会1

フィンランドの言語(英語)教育についてゆる〜く考える会

フィンランドの教育について関心がもたれています。そこでこの会では、フィンランドの教育、主に言語(英語)教育について、情報交換し、交流を深め、より深く理解しようと考えています。学術的ではありませんのでご了承ください。フィンランドにゆかりのある方、フィンランドに興味のある方などなど、どなたでもけっこうです。ご参加をお待ちしています。関心のある方は下記にご連絡ください。

笹島茂 sasajima@saitama-med.ac.jp

第1回 
日時:2013年6月1日(土) 2時〜5時
場所:お茶の水女子大学 図書館キャリアカフェ


提案 「フィンランドの言語教育は日本とどう違うか?」 

提案者 笹島さん

参加者:末森さん、浜地さん、小嶋さん、草薙さん、小林さん、深谷さん、今坂さん

みなさんでフィンランドの話をしましょう。

〜 今回の笹島さんの提案の要旨 〜

1.私とフィンランドとの出会い

1992年頃 高校でのロータリー留学生受け入れ
1996年  AILA参加
2007年頃 フィンランド訪問(小池先生の科研費研究:CEFR調査)
その後毎年のように訪れる。

2.フィンランドの教育

・1970年代までは伝統的な教育
・1980年代から、基本的なカリキュラムを決めて、
 各学校独自の工夫を優先、オープンな形に移行
・カリキュラム内容は、ほぼPISAが目指す内容と一致
・教育の分権化の流れは1990年代の不況により多少の懸念があり、
 1994年のコアカリキュラムの制定、 
 1999年の教育法の制定
・フィンランドは学力の統一したスタンダードを定めたり、テストをしない
・テストや評価は、学校や教師に任せる。地域の多様性を生かした教育
・小学校も中高の教師も3年(学部)+2年(修士)(300ETCS単位以上)
・博士課程に進む教師も多い
・共通テストに依存しない教育がPISA評価につながっている
・落ちこぼれを作らない教育
・教師の質が高い(養成、地位、信頼、イニシャティブ、支援など)
・教師は、生徒を支援する(学び、問題解決、思考、責任、協調など)
・ひとり一人の生徒の成長
・学校による差のない教育
・家庭は子供の安全安定を評価
・コアカリキュラムの改訂が始まる

3.フィンランドの言語教育(外国語(英語)教育)に関する話題

・フィンランド(スウェーデン)語はヨーロッパではメジャーな言語ではないという認識
・英語と文化間理解能力(ICC)が必要
・生涯学習としての言語教育
・背景となるCEFRの存在
・初等中等教育では、フィンランド語、スウェーデン語、英語の3言語の学習がふつう
・外国語学習は、社会文化状況を反映し、関係性や省察を通して、人の成長に寄与する
・協同学習の場としての学校というコンセプトに基づく教師教育、教員養成
・リサーチを基盤とした教員養成と外国語教育
・1970年代中頃より変わる外国語教育 → CLTの流れ
・1994年にコアカリキュラムを作成 2004年改訂 
・教師に教え方の自由を保証(ガイドブックの設定)
・国際的、社会的、教育的挑戦
・CEFR → The National Core Curriculum for Basic Education (2004)
・外国語指導 コミュニケーションの手段 + 文化
・Language Proficiency Scale ( 10段階)

・言語知識を学ぶ  →  言語使用を学ぶ
・書き言葉 →  話し言葉
・文法  →  実際のニーズに応じた能力
・訳  →  コミュニケーション
・教師中心  →  自律学習
・言語的技能  →  文化間コミュニケーション能力(ICC)

・授業に関してスタンダードを示さないが、ガイドラインは示す
・動機づけがなされる言語的な内容(実際の状況や経験に関連すること)
・言語材料を学習者同士で使い、読む・書くは宿題
・タスクと言語活動を効果的に利用する
・学校の活動と実社会の活動

・自己評価
・CEFR
・教師が評価方法を選ぶ

・教師教育

  • 教師は、コアカリキュラムを学校の実態に合うように工夫する
  • 教員養成
  • 60 ECTS (教職)
  • 25ECTS(CLIL、早期外国語学習など)
  • 300 ECTS(すべて)
・現職教員研修
・ELP (European Language Portfolio)


笹島さんの感想

この会は今回がはじめてでした。適当な人数の人が集まり、3時間かなりいろいろなことを語り合って、楽しいひと時でした。場所もオープンスペースの図書館の一角で雰囲気もとてもよかったです。フィンランドは小さな国ですが、私たちに多くのことを気づかせてくれると思いました。今回の輪をさらに広げていきたいですね。私は、今回言語教育の話題を提供しました。日本の英語教育の話にもなりました。私はこのような雑談が大好きです。雑談の中からいろいろな発見をしました。ありがとうございます。


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参加者感想

末森さん ー
フィンランドの言語教育だけでなく、日本の言語教育など様々な話題について意見を交換することができ、とても有意義な会でした。私がフィンランドに留学した際に得た経験を参加者の方に伝えることができ、嬉しかったです。また、自分の経験を振り返る良い機会にもなりました。フィンランドで私は貴重な経験をしてきたのだと改めて感じることができました。今後は日本の教育をより良くしていくためにフィンランドの教育をどのように参考とすべきか、という点について個人的には特に考えていきたいと思います。この会を通して、フィンランドの教育について自分の経験を伝えると共に、私自身もより学んでいきたい。

深谷さん ー
個人として感じていたフィンランドの教育に対する漠然とした思いを皆様と共有できたことが何よりの収穫でした。次回を楽しみにしております。