ページ

2013年6月1日土曜日

フィンランドの言語(英語)教育についてゆる〜く考える会1

フィンランドの言語(英語)教育についてゆる〜く考える会

フィンランドの教育について関心がもたれています。そこでこの会では、フィンランドの教育、主に言語(英語)教育について、情報交換し、交流を深め、より深く理解しようと考えています。学術的ではありませんのでご了承ください。フィンランドにゆかりのある方、フィンランドに興味のある方などなど、どなたでもけっこうです。ご参加をお待ちしています。関心のある方は下記にご連絡ください。

笹島茂 sasajima@saitama-med.ac.jp

第1回 
日時:2013年6月1日(土) 2時〜5時
場所:お茶の水女子大学 図書館キャリアカフェ


提案 「フィンランドの言語教育は日本とどう違うか?」 

提案者 笹島さん

参加者:末森さん、浜地さん、小嶋さん、草薙さん、小林さん、深谷さん、今坂さん

みなさんでフィンランドの話をしましょう。

〜 今回の笹島さんの提案の要旨 〜

1.私とフィンランドとの出会い

1992年頃 高校でのロータリー留学生受け入れ
1996年  AILA参加
2007年頃 フィンランド訪問(小池先生の科研費研究:CEFR調査)
その後毎年のように訪れる。

2.フィンランドの教育

・1970年代までは伝統的な教育
・1980年代から、基本的なカリキュラムを決めて、
 各学校独自の工夫を優先、オープンな形に移行
・カリキュラム内容は、ほぼPISAが目指す内容と一致
・教育の分権化の流れは1990年代の不況により多少の懸念があり、
 1994年のコアカリキュラムの制定、 
 1999年の教育法の制定
・フィンランドは学力の統一したスタンダードを定めたり、テストをしない
・テストや評価は、学校や教師に任せる。地域の多様性を生かした教育
・小学校も中高の教師も3年(学部)+2年(修士)(300ETCS単位以上)
・博士課程に進む教師も多い
・共通テストに依存しない教育がPISA評価につながっている
・落ちこぼれを作らない教育
・教師の質が高い(養成、地位、信頼、イニシャティブ、支援など)
・教師は、生徒を支援する(学び、問題解決、思考、責任、協調など)
・ひとり一人の生徒の成長
・学校による差のない教育
・家庭は子供の安全安定を評価
・コアカリキュラムの改訂が始まる

3.フィンランドの言語教育(外国語(英語)教育)に関する話題

・フィンランド(スウェーデン)語はヨーロッパではメジャーな言語ではないという認識
・英語と文化間理解能力(ICC)が必要
・生涯学習としての言語教育
・背景となるCEFRの存在
・初等中等教育では、フィンランド語、スウェーデン語、英語の3言語の学習がふつう
・外国語学習は、社会文化状況を反映し、関係性や省察を通して、人の成長に寄与する
・協同学習の場としての学校というコンセプトに基づく教師教育、教員養成
・リサーチを基盤とした教員養成と外国語教育
・1970年代中頃より変わる外国語教育 → CLTの流れ
・1994年にコアカリキュラムを作成 2004年改訂 
・教師に教え方の自由を保証(ガイドブックの設定)
・国際的、社会的、教育的挑戦
・CEFR → The National Core Curriculum for Basic Education (2004)
・外国語指導 コミュニケーションの手段 + 文化
・Language Proficiency Scale ( 10段階)

・言語知識を学ぶ  →  言語使用を学ぶ
・書き言葉 →  話し言葉
・文法  →  実際のニーズに応じた能力
・訳  →  コミュニケーション
・教師中心  →  自律学習
・言語的技能  →  文化間コミュニケーション能力(ICC)

・授業に関してスタンダードを示さないが、ガイドラインは示す
・動機づけがなされる言語的な内容(実際の状況や経験に関連すること)
・言語材料を学習者同士で使い、読む・書くは宿題
・タスクと言語活動を効果的に利用する
・学校の活動と実社会の活動

・自己評価
・CEFR
・教師が評価方法を選ぶ

・教師教育

  • 教師は、コアカリキュラムを学校の実態に合うように工夫する
  • 教員養成
  • 60 ECTS (教職)
  • 25ECTS(CLIL、早期外国語学習など)
  • 300 ECTS(すべて)
・現職教員研修
・ELP (European Language Portfolio)


笹島さんの感想

この会は今回がはじめてでした。適当な人数の人が集まり、3時間かなりいろいろなことを語り合って、楽しいひと時でした。場所もオープンスペースの図書館の一角で雰囲気もとてもよかったです。フィンランドは小さな国ですが、私たちに多くのことを気づかせてくれると思いました。今回の輪をさらに広げていきたいですね。私は、今回言語教育の話題を提供しました。日本の英語教育の話にもなりました。私はこのような雑談が大好きです。雑談の中からいろいろな発見をしました。ありがとうございます。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

参加者感想

末森さん ー
フィンランドの言語教育だけでなく、日本の言語教育など様々な話題について意見を交換することができ、とても有意義な会でした。私がフィンランドに留学した際に得た経験を参加者の方に伝えることができ、嬉しかったです。また、自分の経験を振り返る良い機会にもなりました。フィンランドで私は貴重な経験をしてきたのだと改めて感じることができました。今後は日本の教育をより良くしていくためにフィンランドの教育をどのように参考とすべきか、という点について個人的には特に考えていきたいと思います。この会を通して、フィンランドの教育について自分の経験を伝えると共に、私自身もより学んでいきたい。

深谷さん ー
個人として感じていたフィンランドの教育に対する漠然とした思いを皆様と共有できたことが何よりの収穫でした。次回を楽しみにしております。