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2014年12月11日木曜日

フィンランドの教育についてゆる〜く考える会4報告

フィンランドの教育についてゆる〜く考える会 4 報告

日時:2014年12月6日(土)1時〜5時

場所:早稲田大学 14号館     403教室

内容:フィンランドと私

今回は、いままでと違い、たくさんの方にそれぞれの話したいことを話していただきました。参加者も多様で、遠くから参加していただいた方もいました。ありがとうございます。


教育という話題は何でも関連するし、また、言語もそうです。私は英語教育を主に言語教育や言語教師に興味があり、また、フィンランドという国や文化についても関心があり、この会を末森さんと始めました。毎回たいへん勉強になり、おもしろく聞かせてもらっています。

特に、反省している点は、研究だけを目的にしていると狭いところしか見えないということです。私がフィンランドを訪れる目的はフィンランドの英語教師と英語教育の調査です。ですから、訪ねてもそれだけしか見ていなくて、ずいぶんと知らないことが多いということがわかってきました。一人の知識や経験は限られています。その点から6人の方の話はとても興味深く聞きました。

以下、簡単に感想を述べておきます。 

1 清水夏希さん 「フィンランド現地小学校へインターンシップした経験から」

清水さんは、フィンランドの小学校を中心に1年間現地の先生や生徒と教育交流をした。Forsaというまちの学校で過ごしたそうです。日本の小学校でも英語教育が本格的にスタートする関係から、フィンランドの英語教育について話してくれた。フィンランドのようにはいかないかもしれないが、どうせやるのならばきちんと英語を教え、学んだほうがよいのではないかと、清水さんは言っていました。私も同感です。課題は山積みですが、実際にフィンランドで体験したことを今後も大いに生かされると思います。

岡本美奈さん 「フィンランドと子育て」


岡本さんは、この話の直前にフィンランドに息子さんと旅行してきたくらいフィンランドを愛している方です。話しを聞いていて、それがよくわかりました。もちろんフィンランドもいろいろと問題がありますが、教育については現在の日本よりはいい面がたくさんあると、私も思います。岡本さんは、「学び」ということについて実践的に考えていて、子供一人ひとりの個性に応じた学びが提供される環境が整備されることを望んでいるようです。子育てたいへんだと思いますが、それに関して積極的に活動している姿が頼もしく思いました。ぜひこの会でも応援したいですね。

池上彩さん  「Hankasalmiの学校と生徒の様子」


池上さんは、Hankasalmiというまちで清水さんと同様にインターシップを経験しました。仕事を休んで1年行くというのはけっこうたいへんだと思いますが、とてもよい体験だったようです。本当はアフリカかどこかに行きたかったそうですが、たまたまフィンランドとの出会いがあったようです。学校のシステムの話をしてくれましたが、日本と違い効率よく働き、教師が自分の生活を大切にしていることが印象に残ったようです。

ここで休憩をとり、参加者同士で様々に交流していました。

渡邉理子さん   「Saamiの人々」

渡邉さんは、オウル大学に1年留学していました。現在は日本の会社で忙しく働いている仕事の合間に来ていただきました。暮れにはフィンランドにまた行ってくるそうです。元気な人です。今回は、ラップランドに居住しているSaamiの人たちのことを話してくれました。Saamiの人たちことはあまり知らなかったので興味深く聞きました。日本のアイヌの人たちと比べると圧倒的に認められていて、法整備もしっかりしているようです。日本も見習うべきでしょうが、そうはなりそうもありません。大学の授業の中でSaamiのプログラムがあり、現地も訪れたそうです。Saamiはフィンランドの学習指導要領でもきちんと触れられているので、参考になりました。







山口晶子さん 「わたしが出会ったフィンランドの人々」

Marimekko Iloinen Takkiという服の話をしてくれました。Vuokkoというデザイナーがデザインした服だそうです。私はまったく知らない世界で勉強になりました。そう言えばこの服見たことありました。山口さんもちょっと前にフィンランドにいて、彼女に直接会ったそうです。楽しそうに話していたのが印象的でした。やはり人間は好きなことをすることが大事だと思いました。教育とはまったく関係なさそうですが、フィンランドの人と会うと多くの人が自分の世界を持っているように思います。個人主義と簡単に言う人がいますが、ちょっと違うと思っています。山口さんの話を聞いていたらちょっとわかりました。

太田垣慶さん 「Slushとフィンランドのスタートアップ文化について」


Slushとは何かということもまったく知らなかったので、これも私には新鮮でした。太田垣さんはやはりちょっと前にヘルシンキで開かれたその集まりに参加したそうです。




そのページよれば、Slush(スラッシュ)は、新興企業や技術分野を担う方々に、世界中から集まる一流のグローバル投資家、エグゼクティブ、メディアとの出会いの場を提供することが一番の目的です。Slush 2014は、11月18日と19日の2日間に渡りヘルシンキで開催され、1万人の参加者と2,500社以上の企業が参加します。Slushは、企業家、投資家、学生、音楽フェスティバル主催者のコミュニティによって統括される非営利型のイベントです。当初は300人規模でありましたが、現在はこの業界内で有数のイベントにまで発展しました。その哲学は今も変わることなく、「世界中への発展を目指す、次世代の一流企業が前進するように支援」を掲げます。



太田垣さんが言っていたように、多くの学生が運営に参加しているということがとてもよいと思いました。かなり大きな集まりで、フィンランドがこのような新興分野への投資に力を入れていることがよくわかりました。話を聞きながら、フィンランドは、日本のアプローチの仕方と微妙に違う、という印象が、このようなイベントにもあることにも気づきました。教育でも同じようにもっと柔軟に展開できれば少しはよくなるのかなあと考えました。

みなさん、ありがとうございます。

文責:笹島茂

会の世話人:末森咲、太田垣慶、荊紅涛

2014年10月13日月曜日

フィンランドの教育についてゆる〜く考える会4


今回から、会の名称をちょっと変えて、

フィンランドの教育についてゆる〜く考える会 4

として、主に言語(英語)教育関連としたいと思います。というのは、英語教育のことを話していると、結局、教育全般にかかわるので、「教育」としたほうが適切のようです。

ということで、ご無沙汰しました。次回の会合の連絡です。

日時:2014年12月6日(土)1時〜5時

場所:早稲田大学 14号館     403教室

内容:フィンランドと私

趣旨:前回と同様ですが、留学した方の体験談、フィンランドへの興味関心、フィンランドとのかかわり、など。教育をめぐって、何人かの人に話題提供をしていただき、それについてみなさんでわいわいと話しましょう。

話者とタイトル: 

清水夏希さん 「フィンランド現地小学校へインターンシップした経験から」
岡本美奈さん 「フィンランドと子育て」
池上彩さん  「Hankasalmiの学校と生徒の様子」
渡邉理子さん   「Saamiの人々」
山口晶子さん 「わたしが出会ったフィンランドの人々」
大田垣慶さん 「Slushとフィンランドのスタートアップ文化について」


どなたでも参加できます。気楽に来てください。参加費も必要ありません。遅刻早退けっこうです。

世話人:笹島茂、末森咲、荊紅涛

2014年7月13日日曜日

フィンランドの言語(英語)教育についてゆる〜く考える会3報告

フィンランドの言語(英語)教育についてゆる〜く考える会3報告

楽しい会をありがとうございました。20人近く集まっていただき、前回に続き大盛況でした。早稲田大学の荊さんが場所を設定してくれて助かりました。また、大田垣さんが、facebookで宣伝していただき、フィンランド大使館の方も来ていただき、ますますこのゆる〜く考える会が、ゆる〜く広がっていくのを感じ、うれしいかぎりです。

さて、今回もフィンランドでの体験をあれこれを聞き、様々に話を共有することで、フィンランドを理解し、交流を盛んにしたいという趣旨で集まりました。今回の話題提供者は、吉田陽香さんと飯田夏子さんにお願いし、「オウルで学んだ1年間」と「フィンランドの先生について」というタイトルで話してもらいました。 

以下は、笹島の感想です。

吉田さんの「オウルでの1年間」

吉田さんは高校生と立場で、飯田さん教師という立場で1年間フィンランドでフィンランドの人たちの暮らし、生徒としての学校生活、教師としての学校教育支援というかたちで、日本の教育環境と比較しながら、フィンランドの教育について話してくれました。

吉田さんの高校での体験は、日本のシステムでいうと、大学での学習に似ていると言えるでしょう。学校は授業を受けるところで、それ以外の関係性は学校のシステムとしてはない。吉田さんは、その中で、おそらく必死にいろいろと努力したのでしょう。そのような吉田さんをそっと見ながら、さりげなく助けてくれるフィンランドの人たちがいるというのは納得します。

吉田さんの高校生活を聞いて、フィンランドの自律学習の意味が少し分かったような気がしました。また、吉田さんが、フィンランドでさらに学びたいという気持ちになったのもよく分かりました。日本の学校教育システムはけっこう息苦しいところがありますが、フィンランドは、私が感じたように、サバサバしていると感じました。だめなものはだめ、よいものはよい、です。

きちんと自分の考えを伝えることの重要性は肌で感じたようです。これは頭では分かってもなかなか実行できない面が日本の文化の中には根付いています。日本でははっきりと言うとどうしても角が立ちます。その面では、Intercultural Communicative Competence(文化間理解能力:自分とは異なるものを受け入れる、それに対処する力)は、フィンランドは、Finnish National Core Curriculum(日本の学習指導要領相当)でも言われているとおり、きちんと実行しているような印象を持ちます。

そのような点を、吉田春香さんはフィンランドの留学で身につけてのではないかと思います。堂々とした発表を見て、とてもよい経験をしたのだと思いました。

飯田さんの「フィンランドの先生について」

飯田さんは日々の忙しい仕事の中でふと考え、どこか外国でインターンシップを経験したいと思ったようです。ということでフィンランドで1年間過ごしました。フィンランドを選んだのはほぼ直感で、英語の教師をしているから英語圏でというよりも、英語+αのあるフィンランドを選んだそうです。

フィンランドはもちろん教育で有名な点にも興味がありました。タンペレ市の近くのオリベシ市の中学校で活動することになりました。しかし、行ってはみたものの特に何をするということも決まっている訳ではなく、自分で仕事を見つけなくてはならなかったというのは、実にフィンランドらしいと思いました。

日本の中学校とはだいぶ違う文化を体験したことは言うまでもありません。特に、教師の1日を比較した次の表を見たら、日本の中学校の先生はみんな辞めてフィンランドへ行ってしまうのではないかと思います。


















その他も、フィンランドの先生と日本の先生を比較した話は、たいへん勉強になりました。なるほどと思いました。ほぼ私の理解と同じでした。

終了後に飯田さんとも話しましたが、まずは先生の健康だとつくづく思います。無理して働き過ぎることはよくない。まずは自分あってのものですから、自分を犠牲にしてまで生徒のため、学校のためはでは決してよいことではないのです。が、日本はそうもいかないことも多々あるのが現実です。飯田さんの話を聞いていて、なぜなんだろうと改めて思いました。

フィンランドに多くの人が興味を持っています。特にこの会に集まる人はそうです。が、やはりいいところがたくさんあります。私はフィンランドに暮らしたことはありませんが、都合10回以上訪れています。それでも私が見ているフィンランドは断片的で、このように話を聞くといろいろなことが分かります。

ありがとうございました。

さて、話を聞くだけでは限られてしまうので、このようなブログにそれぞれの体験を書いていただくことで、もう少し共有範囲を広げたいと思います。ぜひ協力してください。

これからちょとしたエピソードを依頼しますのでぜひ書いてください。写真や絵がついてもかまいません。話題は何でもけっこうです。フィンランドのことを書いてください。

フィンランドの方にも読んでもらいたいので、英語でお願いします。末森さんと考えてから、また依頼します。

だらだらと長くなりました。では、また。次回は11月か12月頃です。





2014年6月11日水曜日

フィンランドの言語(英語)教育についてゆる〜く考える会3

フィンランドの言語(英語)教育についてゆる〜く考える会3

日時:2014年7月12日(土)3時〜5時
場所:早稲田大学(早稲田キャンパス) 
   11号館 802教室

フィンランドでの体験をあれこれ

話題提供者

1 飯田夏子さん 「フィンランドの先生について」 
2 吉田陽香さん 「オウルで学んだ1年間」     
3 笹島茂 「教員養成について」 
4 

今回も、フィンランドで教育体験をした人の話を聞きたいと思います。スピーカーは、学校の先生という立場でフィンランドを経験した飯田さんと、高校生という立場でフィンランドを経験した吉田さんの2人から、主に話しを聞く予定です。他にも何人かお願いする予定です。いろいろな体験を互いにシェアしたいと思います。ぜひ、集まってください。話はいつものとおり、気楽にゆる〜くいきます。



2014年2月9日日曜日

Riitta Jaatinenさんの話を聞く

フィンランドで学習を経験した人を囲んで話を聞く会を開催しようと思っていましたが、ちょっと日程があわずのびのびになっています。

その前に、以前話したとおり、フィンランドから鳴門教育大学に研究で来ている

タンペレ大学のリイタ・ヤーティネン先生を招いて話を聞く会をやります。日程などは下記のとおりです。

Riitta Jaatinen(Tampere大学)氏講演会

日時:2014年4月19日(土) 3時〜5時
場所:立教大学 池袋キャンパス 14号館502教室

Riitta Jaatinen (Tampere University, Finland)

The Finnish School and Research-based Teacher Education
- A Case Study of a Finnish Teacher Education Programme

JACET 言語教師認知研究会が主催ですが、「フィンランドの教育についてゆる〜く考える会」が企画しましたので、みなさんもどうぞ参加してください。

終了後、食事会をする予定です。リイタ・ヤーティネン先生を囲んで語らいましょう。

4月19日、Riitta先生の講演後に夕食会を行います。
参加希望の方は末森へ(saki.suemori@gmail.com)ご連絡下さい。

夕食会詳細
日時:4月19日 17:30-20:00
場所:アインソフソア池袋 http://ain-soph.jp/soar.html
会費:3500円